居酒屋まるめ

表題はあれですけど居酒屋のことは基本書かないと思います。好きな音楽・本・映画、服・靴・時計・小物etcについてお気楽に…

高尾山口~陣馬高原下バス停間縦走への異常な愛情 または私は如何にしてサイクリングやジョギングをやめて山歩きを愛するようになったか

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【それまでのあらすじ*1】   時に西暦2006年。当時の俺は基本的にメタリカ夏目漱石HUNTER×HUNTERエヴァのことだけを考えながらお気楽に暮らしていた。*2エヴァの監督の庵野秀明が漫画家の安野モヨコさんと2002年に結婚して、2005年に二人の交際~結婚生活を面白おかしく漫画化した『監督不行届』の単行本が発売される。当時、ネットでかなりプロモーションされていて、発売日に書店で購入した。読んだ方ならわかると思うが、これがかなり真剣に受容の物語というか、ラヴストーリーとしてよくできていて、カントクくんに影響されてペーパードライバーを返上し、それまでは生活の足としてしか使っていなかったMTBで本格的なサイクリングに出掛けるようになるなど、生活様式を一変させられたのである。

 

 その安野モヨコ先生の『働きマン』は、もちろん庵野*3つながりでモーニングでそこそこ立ち読みしていたのだが、『監督不行届』があまりにも素晴らしいのでたしか2巻まで出ていた単行本を購入した。今は手元にないが、こちらも当時の俺のハートをガッチリキャッチ(死語)する出来栄えなのであった。とくに出版社の書店営業する人が猛プッシュ中の小説の著者に感謝される話が好き。こうしてタイプしてるだけで目頭が熱くなるレベル。*4*5

 

 その『働きマン』の主人公、松方弘子は・「『仕事したなー』と思って死にたい」と願う仕事人間・コンビニの納豆巻きを愛する、といった設定のほかに、・仕事に行き詰ると高尾山へ行ってリフレッシュする、という一面を持つ。で、高尾山へ出掛けたところ事件が~というエピソードがあり、これをきっかけに俺も高尾山に関心を持つようになった。

 

 

 2006年の暮れだった気がする。もしかしたら2007年の1月・2月だったかも。とにかく寒い時期だった。マーモットのゴアのマウンテンパーカ*6に、インバーアランのニットを着ていた。始発で行ったのかはわからない。事前にネットで地図を頭に叩き込み、高尾山口~陣馬高原下バス停までの19キロのコースに挑戦することにしたのだ。途中で何か所か道を間違えたことはあっても、クリティカルな事態には至らず、ゴールのバス停から高尾駅へ向かうバスに乗った時には、人生でも何度得られたか数えるほどの達成感を得ていたのだった。

 

 その後2007年の6月に2度目の高尾~陣馬間縦走に出掛ける。最後の陣馬山頂にご自慢のサングラス*7を忘れるというショッキングな事態が発生したものの、初回の反省点を踏まえた縦走となり、これまた楽しかった。それからは2ちゃんねるの登山板・高尾山~陣馬山スレッドに常駐するようになり*8、その年の暮れ、紅葉が色づいてきたと知っては母を伴って出掛け、その際に19キロの行程を母の方が健康的に歩けていた事実に絶望してその直後にもう一度一人で出掛け、完全にハマった状態となる。画像等が残っておらず確認はできないが、たぶん2008年の新年の電車の終夜運行を利用して、初日の出を見るためにも行っているはず。

 

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靴が防水でも、ズボンに雪が付く→溶ける→濡れる→靴下が濡れる→靴が浸水する、で結局詰む

 

 ダナーライト紹介の際にもちょっと触れたが、2008年の2月には、高尾駅前の漫画喫茶に前泊し、早朝に出発しようとしたところ、粉雪が降り始めて、上着と靴は防水だし、ズボンは綿だが雨じゃなくて雪なので浸みないから大丈夫だろうと判断して、結果完全な雪路を19キロ歩く羽目になったこともある。帰りのバスと中央線の高尾~八王子間はひたすらガタガタと震え続け、感覚のなくなった踝から先を八王子駅前・やすらぎの湯で解凍するまでは足指切断の恐怖に怯えたものだが、達成感もまたこの上なかった。

 

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未明の高尾山頂。

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早朝の景信山山頂。全行程ですれ違ったのは一人だけ。おそらく半径数キロに誰もいない。

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朝の和田峠周辺。雪の積もった舗装路を何度も転びながらバス停を目指す。

 

 以来、元日が暇な際は基本的に朝の3時とかに成田を出て、高尾~陣馬間の縦走をするのが恒例行事となっているし、年に一度は必ずそれとは別に縦走に出掛けるようにしている。ある年は縦走ゴール手前で職場からの呼び出しがあり、大急ぎで成田へ帰ったものである。ギリギリそんなことができるのも、高尾山のいいところのひとつである。自転車は自転車道に出るまでが危険だったり、結局快適に走れるコースは限られていてかわり映えしなかったりで飽きて、ジョギングは信号の多さで快適に走れなかったりで飽きて、そこでハマったのが山歩き、全都道府県で最も標高の最高地点が低く、山という山のない千葉県在住者としては、一番簡単にアクセスできる山が高尾山だったというわけだ。*9

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 この写真の縦横が直せなくて発狂中。

 天気のいい日、できれば何日も晴天が続いているとより望ましい。登山道の状態を左右するので。できるだけ早く高尾山口・または高尾駅に着くようにする。早く出発するのは登山道が混み合うのを避けるためである。俺はわざわざ八王子に泊まっていたのに、始発を待って出発したので2ちゃんで笑われたことがある。そこまでするなら八王子からタクシーで行けば、いつでも好きな時に出発できたのに、というわけだ。高尾駅から高尾山口まではそう遠くないので、電車のタイミングがアレなら歩いてしまってもアップになっていいかも。

 

 19キロコースに晴れの日に出掛けるとして、装備は、大前提としてすべて汚れてもいいもの。靴は水たまりが避けられないこともあるのでできれば防水のもの、なければ雨に強いもの。暑い季節ならスポーツ用のサンダルでも構わない。服は、暑い季節ならTシャツ短パンでOKだが、寒い時期は「暖かいもの」よりも「風を防ぐもの」であることが重要。あともちろん動きやすい服。帰りに風呂に寄る・寄らないはともかく、下着類は一式替えを持っておきたい。この程度の縦走であれば、別によく言われる化繊のものでなくても構わない。土日祝祭日なら途中の茶店が営業しているので、食べ物・飲み物もお好みで、である。俺は水1~2リットル・ポカリ的なもの500mlを2本、栄養ドリンク的なものを2本ほど、塩分補給的なタブレット的なものを一袋、チョコなど好みのおやつを2・3点くらいで登ることが多い。水は500mlのボトル何本かに分散したほうが都合がいいのだが、コストの問題で2リットルペットをデイパックにブチ込むことが多い。あとはできれば何かしら手袋・軍手を着けた方が、どこにでも手を着くことができて宜しい。時計はメタルバックルのものはむくんできつくなることがあるので避けた方が無難かも。バッグはリュックが理想だけどショルダーでもギリでアリかも。

 

 高尾山口から、高尾山頂へのコースは3通りある。舗装路でお寺を経由する1号路、小川・沢と絡み合うようにして登る6号路、そして登山道色の強い稲荷山ルートである。どれも登ったことがあり、1号路はひたすら杉林の中の舗装路を蛇行して進むのでなんか疲れて苦手、6号路は靴が防水じゃないと心配だし見晴らしの良い場所がないのでよっぽど潤いを欲していないと行かない、ということで稲荷山ルートを選ぶことが多い。90分も歩けば高尾山山頂で、傾斜はなかなか手ごわいが、基本的に手を使う個所はない。天気が良ければ、途中の稲荷山展望台からの多摩地区を一望できる景色は最高である。

参照:高尾山公式ホームページ 登山コース

 

 高尾山頂まで来ると、疲れ方的な意味で全行程の4分の1~5分の1はこなしたと考えていいと思う。「ちょっとやってらんねえな」と思ったら、そのまま舗装路・下りで帰ることもできるし、ロープウェイまたはリフトで高尾山口まで降りることもできる。今年の正月は会社関係の8人組で出掛けて、山頂付近でお昼にして1号路で初詣しながら帰ったのだが、初めての舗装路下山は楽チンだった。天気が良ければ展望台から富士山が望めるはず。先へ進むなら、標識を「城山」方向へ進む。この先、各山頂にはトイレ・売店ありだが、高尾山頂のトイレは最近新設され、この先はこれほど充実したお手洗いはないので行った方が無難(なのに俺はこの正月使わず、どんなものかわからない)。

 

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2013年の初日の出。高尾山頂でみんなで拝もうという祭状態なのだが、私は先を急いで歩きながら見る。

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随所に富士山鑑賞スポットが。でも20倍の望遠使って撮ってます。

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 高尾山頂からしばらくなだらか目な下りが続く。最初に歩いた時は楽でいいと思ったのだが、二回目からは「せっかく登ったのに」と思わされる。高尾山山頂の高さ599mに対して、最後の陣馬山は857mであり、降りた分は必ずまた登らなくてはならないのだ。なお、「まき道」といって、ちょっとしたピークを回避して進む楽なコースが随所に設けられているが、「上り坂があれば下りもある。人生と同じだ」とか月並な感慨を得るためにはまき道は邪道だと思うのですがどうでしょう?

参照: 高尾山公式ホームページ 高尾山・陣馬山コース

 

 紅葉台・一丁平と、ちょっと休憩するのに適した場所が続く。一丁平の先は、城山山頂までややハード目な登り。

 

 城山山頂からは相模湖や多摩地区が見渡せる。テーブルも随所に設けられており、売店では飲み物・食べ物が買える。猫ちゃんがいることでも有名なはず。ここまで来ても、まだ全行程の半分には達していないと思う。3分の1くらい? 用を足したら、標識を景信山方面へ。城山山頂の670mから景信山頂の720mへと大した差ではないのだが、この間が全行程でも特にキツいと毎回思う。一番キツいと思ってる場所は、あまりにキツいのでYouTubeに動画をアップしたくらいだ。登り・下りで手を着く個所もいくつか出てくる。

 

 景信山山頂も城山同様、売店・トイレ・椅子テーブルがあり、見晴らしの良い場所もある。ここまで来れば、確実に全行程の半分はこなしたと思って良いだろう。なお、コースには随所に全行程中何キロ進んで残り何キロあるかを示す標識があるので、参考にすると元気が出たり心が折れたりする。

 

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 景信山山頂から陣馬山山頂を示す標識の方向へ進む。この先は景色は基本杉林で、意識は歩くこと自体にフォーカスされてくるので、それほど大変ではない。実は何度も縦走を重ねるうちにトレイルランニングに興味がわき、同じコースを走ってみたこともある。帰りのバスの時間をマラソンで言うところの制限時間として意識しながら走るのはなかなか面白い。が、靴がスニーカーに限定されるのは悩ましいところである。スニーカーは防水面が弱いし、登山ブーツ・サンダルで走るのは足に悪いことは確定的に明らか。

 

 途中で明王峠という場所があり、売店跡地のような小屋と簡易なトイレ、ベンチがいくつかあるので、この間で休憩を取るならここがいいだろう。

 

 陣馬山への登り道は、これまでのキツい箇所に比べればそう苦しくない。ひたすら歩く・歩く・歩く、である。やがて向こうの山頂に白馬のモニュメントが見えてくる。陣馬山頂だ。陣馬山頂には茶店が3店とかあり、ベンチ・テーブルもトイレもある。これまでのどの山頂よりも開けている。ゴールのバス停には売店・自販機があるので、ここで手持ちの飲み物・食べ物は消費してしまっていいだろう。帰りのバスの出発時間を事前に調べておき、余裕を持つなら70分程度、ギリで急ぐなら40分程度前に山頂を出発したい。

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 陣馬山山頂。

 陣馬山山頂からの下りはなかなかハードだ。急勾配の下りの木の階段をまず10分~20分ほどひたすら降りる。すると和田峠という場所に出る。ここからバス停までは3.6キロの舗装路だ。自転車で登り坂を登ることを好むマゾヒスト……、じゃなくてヒルクライマーの聖地というか聖路として知られている。ときどき車や自転車が通るので、気を付けてひたすら下る。毎回「スニーカーなら走れんのになあ、ブレーキの利く乗り物、自転車とかあればなあ」とか思う。

 

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 両脇を杉林に囲まれた薄暗い蛇行した広くない舗装路をひたすら下っていると気分が塞ぎ込んでくるが、うんざりしたころにバス停に到着する。バスは基本1時間に1本。バス停のそばには割と最近できた、高尾山山頂以来の水洗のトイレがあり、いわゆる「だれでもトイレ」的な施設もあり、ここで着替えてすっきりしてバスに乗ることもできるので、極力時間には余裕を持ちたい。ベンチ・休憩所・売店・自販機もある。靴の泥の汚れを落とすブラシもあるので、汚れを落とすとバスを汚さずに済む。

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 SUICAPASMOも使えるバスに乗って、渋滞状況にもよるが4・50分程度で高尾駅高尾山口じゃないよ)に到着。高尾駅始発の中央快速に乗れば座って都心方面へ一直線である。先述したランニングの際は、一度だけ7時過ぎに高尾山口を出て昼頃にバスで高尾駅に戻ってきて、大急ぎで京成立石へ行って2時過ぎに人気もつ焼き・もつ煮込み屋さんでおいしいもつ煮込みやシロ塩なんかを頂いたことがあったけど、今は時間的に難しいかも。

 

 話が逸れた。中央特快に乗って1時間前後で新宿なり御茶ノ水なりに行けるので、俺は江戸遊に行くことが多い。新橋の高級雑魚寝サウナことオアシスサウナ・アスティル新橋*10に行きたいところだが、2時間2千円とか掛かるし要乗換だし正月はやってなかったりだしで、好きだけどそれほど行かない。

 

 歩きで19キロこなしたとして、御茶ノ水で風呂上りには18時頃が想定される。その後はどの飲み屋さんでも土曜ならよりどりみどり、日曜・祝日でも一都三県の酒場という酒場を極めた皆さんなら、きっと打ち上げの場所には事欠かないと思うのですがいかがでしょうか!? ということで本稿を締めようと思うですがどうでしょうか。オチてますでしょうか。約6千字。目が霞んでミスタッチばっかになってきました。

*1:この投稿に限りませんが、このブログで投稿の冒頭に【それまで/これまでのあらすじ】とあるときは、基本的に「あらすじ」部分は全て読み飛ばしてもいいようにしているつもりです。

*2:2014年の私はメタリカ夏目漱石HUNTER×HUNTERエヴァと僕の好きなもつ焼き・もつ煮込み屋さんのことだけを考えながらお気楽に、時に悩ましく暮らしています。

*3:庵野呼ばわり

*4:あと当たり前すぎるのかあんまりいう人がいないが、ファッション・小物描写が凄すぎる。サラリーマンのスーツの着方(ボタンとか)、靴下等の小物描写は男性の漫画家でもダメなことが多いのに完璧。単行本見ればわかるけど、「このキャラのカバンには何が入っているか」レベルまでキャラ設定してるからできる描写だど思う。白眉。でも雑誌業界の現状を考えると再開は難しいのかも。でも再開してくれたらうれしい。

*5:あとこれは言いづらいけど、「なかなか会える時間取れないからせめて会えるときには楽しい話しようと心掛けてたら辛いこととか言えなくなった」とかほんと刺さるよね

*6:その後ヤフオクで数千円でドナドナウマウマ

*7:ランス・アームストロングのシグニチュアのオークリー・Mフレーム。その後偶然デッドストックを新宿で発見し買い戻す。総投資額6万円。ランスがドーピング告白した今となっては金貰っても掛けたくないって人も多いと思う

*8:その後卒業

*9:自動車を使う人なら筑波山になると思う。俺は帰りにお買いものとかしたいから高尾山一択。

*10:値段に目をつぶれば、最高のユーザ・エクスペリエンスが保証されている。とくにタイル地のソファ的な長椅子で寝るのが大好き♪